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J1320 吉水遺誓諺論 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0030A01: 行に誘はれて。安心も起行も。懶惰懈怠の人と成るべ
J09_0030A02: からず。往生極樂の一大事。只この願行相續に極ま
J09_0030A03: る。あひ搆へて。心をゆるす事なかれ。然るに。こ
J09_0030A04: の妄念稱名に付ては。古も今も。自宗他宗の學者に。
J09_0030A05: 大過不及の論あれば。愚なる人は聞迷ひて。或は疑
J09_0030A06: ひ或は嘆く輩も。世に多ければ。粗ここに記しぬ。
J09_0030A07: なを委曲の事は。この次でには申し盡すべくもあら
J09_0030A08: ずさらに別論を待つべし
J09_0030A09: 上來の義趣を。とかく云つづくれば。廣けれど。漢
J09_0030A10: 字に畧して。要をとれば。ただ願行相續の一句なり。
J09_0030A11: 此一句の中に。此一段の安心も起行も作業も殘なく
J09_0030A12: みな籠ればなり。扨いかなれば必ず願行具足する
J09_0030A13: を肝要とはするや。願は目のごとく。行は足のごと
J09_0030A14: し。目あれども。足なければ路を行くによしなし。
J09_0030A15: 足ありとも。目なくは。必ず路に迷ひぬべし。此故
J09_0030A16: に目足相扶けて。步を運ぶが如く。助玉への願心の
J09_0030A17: 目を開で。南無阿彌陀佛の行の足を。はこぶを。願
J09_0030B18: 行具足とは云なり。されば玄義に云。ただ行のみある
J09_0030B19: は。行すなはち孤にして至る所なく。ただ願のみあ
J09_0030B20: るは願すなはち虚くして。至る所なし。必ず願と行
J09_0030B21: と相扶けて。所爲みな尅すべし。と云へり扨又いかなれ
J09_0030B22: ば。相續するを肝要とはするや。たとひ目足そなはる
J09_0030B23: とも步を運ばされば至る所なし運び運びて止まざれ
J09_0030B24: ば。ついに必ず至るがごとく。たとひ平生念佛申す人
J09_0030B25: も。後また退轉してその末を遂けざれば。わづかに
J09_0030B26: 下種結縁の分と成て。順次の往生は遂けがたし。ただ
J09_0030B27: 思ひ立ちぬるその日より多くも少なくも。日日念佛
J09_0030B28: をこたらず。一期退轉せざるを。眞の相續とは云な
J09_0030B29: り。これ决定往生の正業なり。往生禮讃に。稱名廻
J09_0030B30: 願無間に相續して。畢命を期として誓て中止せざれ
J09_0030B31: との玉ふは是なり。されば念佛の行人もし願行相續
J09_0030B32: の一句にだにも。よく相應しつれば。やがて阿彌陀
J09_0030B33: 佛の上盡一形の本願に乘ずるがゆへに。决定して必
J09_0030B34: 得往生の大益にあづかるなり。但し玄義の十願十行

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