浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0017A01: | の便に備へよと。時に余答て曰く誠に然なり。さり |
J09_0017A02: | ながら世の人智あるも愚なるも。一枚起請とだにも |
J09_0017A03: | 聞けば。やがて念佛の安心を示し玉へる。吾大師の御 |
J09_0017A04: | 遺誡なりと知らざるはなし。これによりて。通題その |
J09_0017A05: | まま別題とはなれり。これ得たる者は別稱を呼ばず。 |
J09_0017A06: | と云ふに叶ひて。いよいよ大師の御遺德を顯すなら |
J09_0017A07: | ん。されば古より。宸翰を始め。公卿門跡他宗の高僧 |
J09_0017A08: | たちまで。數多此文を書せ玉ふを見侍るに。みな一枚 |
J09_0017A09: | 起請と題して。更にその名を改め玉はず。然ればただ |
J09_0017A10: | 世の久しき相傳を守りて。一枚起請と呼んにはしか |
J09_0017A11: | じ。但し講談の便に。しいて總標の題號を義立せよ |
J09_0017A12: | とならば。 |
J09_0017A13: | 吉水遺誓と題しなば。打聞より。吾大師の。末期の。 |
J09_0017A14: | 起請文。なりとは知らるべし。もし何事に書かせ玉へ |
J09_0017A15: | る起請文ぞやとなを總標を題せよとならば具さに念 |
J09_0017A16: | 佛往生吉水遺誓と題しなば。殘る所あるまじくや。 |
J09_0017A17: | これまた私の義にあらず。本より大師の御心なるべ |
J09_0017B18: | し。その故は。大師かねて鎭西上人に付囑し玉へる。 |
J09_0017B19: | この本文には。發端の詞に。念佛往生と申す事はもろ |
J09_0017B20: | こし我朝等。と書下し玉へばなり。誠に遺誓一編は。 |
J09_0017B21: | ただ念佛往生の安心起行を示し玉へば。此一句ふか |
J09_0017B22: | く題目にかなへり。况や念佛往生と云へは正しく第 |
J09_0017B23: | 十八願の題目なるをや。又玄義には。念佛を宗とし。 |
J09_0017B24: | 往生を體とす。と釋し玉へば。此一句は淨土三經の |
J09_0017B25: | 宗體なり。されば選擇集の題下には。往生之業念佛爲 |
J09_0017B26: | 先と標じて。選擇一部の落著は。ただ念佛往生の一句 |
J09_0017B27: | に極まる事を示し玉へり。然にこの念佛往生の一句 |
J09_0017B28: | を他宗の學者は。觀念理持の念佛に混亂し。背宗の贋 |
J09_0017B29: | 徒は。領解歸命の念佛に僞亂せり。しかのみならず。 |
J09_0017B30: | 願行相續稱名の念佛をば。吉水方便の御勸化にして。 |
J09_0017B31: | 眞實の御本意にはあらずと訇りて。上大師を誣ひた |
J09_0017B32: | てまつり。下男女を惑はせり。これらの邪義を。なが |
J09_0017B33: | く滅後末代に防ぎて。彌陀本願の正義をあらはし玉 |
J09_0017B34: | はんための御遺誓なれば。念佛往生の題目。その髓を |