浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0015A01: | れば。一劫佛を遠ざかると。論に云く自法を愛染する |
J09_0015A02: | がゆへに。他人の法を毀呰すれば。持戒の行人なり |
J09_0015A03: | といへども。地獄の苦を脱れずと。古德云く傳法利 |
J09_0015A04: | 他の功ありとも。いまだ誹法毀人の失を補はずと云 |
J09_0015A05: | へり。口業の罪のはなはだ恐べき事かくの如し。損 |
J09_0015A06: | 他とは何ぞや。聽聞の男女の心は。やがて説法師の |
J09_0015A07: | 心言に。似かりやすきものなり。法師が我慢勝他の |
J09_0015A08: | 説法を好めば。聽衆もやがて我慢勝他の機となり。 |
J09_0015A09: | 法師たやすく人を輕しめ法を謗れば。聽衆もやがて |
J09_0015A10: | その心うつりて。自然に誹法毀人の惡人となるもの |
J09_0015A11: | なり。たとひ本より我慢誹謗の惡心あらん人も。一 |
J09_0015A12: | 座の説法に感じて。年來の惡心をも翻さんこそ。聽 |
J09_0015A13: | 聞の利益とも云べけれ。聽聞ゆへに。返りて我慢誹 |
J09_0015A14: | 法の罪人となさん事悲しからずや。又その責。法師 |
J09_0015A15: | の身に歸せざらんや。摧邪興正の説法は。法師の任 |
J09_0015A16: | なりとはいへど。凡心の悲しさは。動すれば人情に |
J09_0015A17: | 落ちやすければ一定誹謗の罪を招くべし。又聽聞の |
J09_0015B18: | 男女は。僻さまに聞覺えて。法師をほめんとて。返り |
J09_0015B19: | て謗法の人に云なす事も侍れば。とにかくに。尋常 |
J09_0015B20: | の勸化には。萬の是非を閣きて。ひとへに念佛の男女 |
J09_0015B21: | を正見修行の人と。なさんにはしかじと思ひしかば。 |
J09_0015B22: | 第二重以後をば論ずるに暇なかりき。然に。御遺誓 |
J09_0015B23: | の來由を。世に知れる人稀なれば。大師の密意も。 |
J09_0015B24: | かくろひて顯れざるままに。他宗背宗の異論異解。 |
J09_0015B25: | さまざまにをこりて。念佛の男女の大なる惑ひの端 |
J09_0015B26: | となりぬ。されば疑ひなげく人も。あまた世に聞ゆ |
J09_0015B27: | めれば。法のため人のため今は止ことを得ず。この |
J09_0015B28: | 諺論には第二重より以後の意を詳らかに釋し。古今 |
J09_0015B29: | 註者未發の蘊を發揮して大師の密意をことごとく披 |
J09_0015B30: | 露する事にはなりぬ。念佛の男女この書を見玉はん |
J09_0015B31: | 人は。この心を得て。ただ願行相續の稱名において。 |
J09_0015B32: | 信心を决定して止みぬべし餘論はみな益なし。跡な |
J09_0015B33: | く忘れ玉へ。もし他宗背宗の義を。みだりに議論し |
J09_0015B34: | 玉はば。决定して謗法の罪を招かるべし。法の議論 |