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J1320 吉水遺誓諺論 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0015A01: れば。一劫佛を遠ざかると。論に云く自法を愛染する
J09_0015A02: がゆへに。他人の法を毀呰すれば。持戒の行人なり
J09_0015A03: といへども。地獄の苦を脱れずと。古德云く傳法利
J09_0015A04: 他の功ありとも。いまだ誹法毀人の失を補はずと云
J09_0015A05: へり。口業の罪のはなはだ恐べき事かくの如し。損
J09_0015A06: 他とは何ぞや。聽聞の男女の心は。やがて説法師の
J09_0015A07: 心言に。似かりやすきものなり。法師が我慢勝他の
J09_0015A08: 説法を好めば。聽衆もやがて我慢勝他の機となり。
J09_0015A09: 法師たやすく人を輕しめ法を謗れば。聽衆もやがて
J09_0015A10: その心うつりて。自然に誹法毀人の惡人となるもの
J09_0015A11: なり。たとひ本より我慢誹謗の惡心あらん人も。一
J09_0015A12: 座の説法に感じて。年來の惡心をも翻さんこそ。聽
J09_0015A13: 聞の利益とも云べけれ。聽聞ゆへに。返りて我慢誹
J09_0015A14: 法の罪人となさん事悲しからずや。又その責。法師
J09_0015A15: の身に歸せざらんや。摧邪興正の説法は。法師の任
J09_0015A16: なりとはいへど。凡心の悲しさは。動すれば人情に
J09_0015A17: 落ちやすければ一定誹謗の罪を招くべし。又聽聞の
J09_0015B18: 男女は。僻さまに聞覺えて。法師をほめんとて。返り
J09_0015B19: て謗法の人に云なす事も侍れば。とにかくに。尋常
J09_0015B20: の勸化には。萬の是非を閣きて。ひとへに念佛の男女
J09_0015B21: を正見修行の人と。なさんにはしかじと思ひしかば。
J09_0015B22: 第二重以後をば論ずるに暇なかりき。然に。御遺誓
J09_0015B23: の來由を。世に知れる人稀なれば。大師の密意も。
J09_0015B24: かくろひて顯れざるままに。他宗背宗の異論異解。
J09_0015B25: さまざまにをこりて。念佛の男女の大なる惑ひの端
J09_0015B26: となりぬ。されば疑ひなげく人も。あまた世に聞ゆ
J09_0015B27: めれば。法のため人のため今は止ことを得ず。この
J09_0015B28: 諺論には第二重より以後の意を詳らかに釋し。古今
J09_0015B29: 註者未發の蘊を發揮して大師の密意をことごとく披
J09_0015B30: 露する事にはなりぬ。念佛の男女この書を見玉はん
J09_0015B31: 人は。この心を得て。ただ願行相續の稱名において。
J09_0015B32: 信心を决定して止みぬべし餘論はみな益なし。跡な
J09_0015B33: く忘れ玉へ。もし他宗背宗の義を。みだりに議論し
J09_0015B34: 玉はば。决定して謗法の罪を招かるべし。法の議論

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