浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0014A01: | 會して御遺誓の宗義を立るを要とす。みだりに他宗 |
J09_0014A02: | の心行を難ずるに及ばざるこれ此重の意なり。 |
J09_0014A03: | 第五重は。念佛の行者。もし背宗の徒に。御遺誓を |
J09_0014A04: | 異解せられ。兼て安心起行を惑亂せられて。すずろ |
J09_0014A05: | に鎭西の相承に疑をおこし。願行相續の稱名を懈た |
J09_0014A06: | る人のためには。段段ごとに具さに背徒の疑難を擧 |
J09_0014A07: | げて一一に會通をまうけ。御遺誓の安心起行并に鎭 |
J09_0014A08: | 西相承の正義に。信心を决定せしむべし。いたく背 |
J09_0014A09: | 宗の邪義を難ずるに及ざる。これ此重の意なり。 |
J09_0014A10: | 右五重の中に。尋常の勸化には。初重の意を急要と |
J09_0014A11: | すべし。されば古今一枚起請の註鈔あまた侍れども。 |
J09_0014A12: | みな初重の意を。とかく釋せられたりと見えたり。 |
J09_0014A13: | 老愚もしばしば御遺誓を講談せしかども。ただ初重 |
J09_0014A14: | の意を縱橫に勸化して。ついに第二重以後をば沙汰 |
J09_0014A15: | せざりき。その初重を急要とせし故は。世間の男女 |
J09_0014A16: | おほくは念佛の行者なり。しかはあれど。世の末の |
J09_0014A17: | 習はしとして。安心を僻さまに心え。起行を懈りが |
J09_0014B18: | ちにのみ明し暮して。百即百生の行者なりと思て。 |
J09_0014B19: | 長閑に過ぐる所に。思ひかけず病の床に臥すより。ひ |
J09_0014B20: | たすら死を恐れ命を惜みて。一大事を忘るる人も世 |
J09_0014B21: | に多し。或は大事を忘れざるも。年ごろ起行の勤すく |
J09_0014B22: | なく。惡業のみ積れる事などを。にはかに思ひなげ |
J09_0014B23: | き悔ひ悲みて。决定往生の信心も立がたく。見ゆる |
J09_0014B24: | 人もまた多し。これみな平生の安心起行正しからざ |
J09_0014B25: | りし咎なり。されば。習ひ先より在らずは。懷念なん |
J09_0014B26: | ぞ辨ずべけんやとは云へり。これによりて。ねんご |
J09_0014B27: | ろに安心を勸めて。决定の正見を起さしめ。急に起 |
J09_0014B28: | 行を勸めて。畢命爲期の日課の稱名を誓はしめて。 |
J09_0014B29: | 正見正行の念佛の行者となすこと。今日勸化の極要 |
J09_0014B30: | なりと思ひ侍る故に。初重の意を肝要とは勸けるな |
J09_0014B31: | り。扨第二重より以後を。ついに沙汰せざりし故は。 |
J09_0014B32: | 聽聞の男女に益少なく。かへりて自損損他の失ある |
J09_0014B33: | べしと思ひ侍るゆへなり。自損とは何ぞや。他宗背宗 |
J09_0014B34: | の人を評論するが故なり。經に云く一念人を輕しむ |