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J1410 拾遺和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0649A01: めして。法藏菩薩と申ししいにしへ。我等か行しか
J09_0649A02: たき僧祇の苦行を。兆載永劫かあひた功をつみ。德
J09_0649A03: をかさねて。阿彌陀ほとけになり給へり。一佛にそ
J09_0649A04: なへたまへる。四智三身。十力無畏等の。一切の内
J09_0649A05: 證の功德。相好光明説法利生等の。外用の功德。さ
J09_0649A06: まさまなるを。三字の名號の中におさめいれて。この
J09_0649A07: 名號を十聲一聲まてもとなへん者を。かならすむか
J09_0649A08: へん。もしむかへすは。われ佛にならしとちかひ給
J09_0649A09: へるに。かの佛いま現に世にましまして。佛になり
J09_0649A10: 給へり。名號をとなへん衆生往生うたかふへからす
J09_0649A11: と。善導もおほせられて候也。この樣をふかく信し
J09_0649A12: て。念佛をこたらす申て。往生うたかはぬ人を。他
J09_0649A13: 力を信したるとは申候也。世間の事にも他力は候そ
J09_0649A14: かし。あしなえこしゐたる者の。とをきみちをあゆ
J09_0649A15: まんとおもはんにかなはねは。船車にのりてやすく
J09_0649A16: ゆく事。これわかちからにあらす。乘物のちからな
J09_0649A17: れは他力也。あさましき惡世の凡夫の。諂曲の心に
J09_0649B18: て。かまへつくりたるのり物にたに。かかる他力あ
J09_0649B19: り。まして五劫あひたおほしめしさためたる。本願
J09_0649B20: 他力のふねいかたに乘なは。生死の海をわたらん事
J09_0649B21: うたかひおほしめすへからす。しかのみならす。や
J09_0649B22: まひをいやす草木。くろかねをとる磁石不思議の用
J09_0649B23: 力あり。又麝香はかうはしき用あり。犀の角は水をよ
J09_0649B24: せぬ力あり。これみな情なき草木。誓ををこさぬ獸な
J09_0649B25: れとも。もとより不思議の用力はかくのみこそ候へ。
J09_0649B26: まして佛法不思議の用力ましまささらんや。されは
J09_0649B27: 念佛は。一聲に八十億劫のつみを滅する用あり。彌
J09_0649B28: 陀は。惡業深重の者を來迎し給ふちからましますと
J09_0649B29: おほしめしとりて。宿善のありなしも沙汰せす。つ
J09_0649B30: みのふかきあさきも返りみす。たた名號となふるも
J09_0649B31: のの。往生するそと信しおほしめすへく候。すへて
J09_0649B32: 破戒も持戒も。貧窮も福人も。上下の人をきらはす
J09_0649B33: たたわか名號をたに念せは。いしかはらを變して。
J09_0649B34: 金となさんかことく來迎せんと御約束候也。法照禪

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