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J1410 拾遺和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0648A01: 生は。宿善のなきにもより候はぬやらん。父母をこ
J09_0648A02: ろし。佛身よりちをあやしたるほとの罪人も。臨終
J09_0648A03: に十念申て往生すと。觀經にも見えて候。しかるに
J09_0648A04: 宿善あつき善人は。をしへ候はねとも。惡にをそれ
J09_0648A05: 佛道に心すすむ事にて候へは。五逆なとはいかにも
J09_0648A06: いかにもつくるましき事にて候也。それに五逆の罪人。
J09_0648A07: 念佛十念にて往生をとけ候時に。宿善のなきにもよ
J09_0648A08: り候ましく候。されは經に。若人造多罪。得聞六字
J09_0648A09: 名。火車自然去。花臺即來迎。極重惡人無他方便。
J09_0648A10: 唯稱彌陀得生極樂。若有重業障。無生淨土因。乘彌
J09_0648A11: 陀願力。必生安樂國。この文の意は若五逆をつくれ
J09_0648A12: りとも。彌陀の六字の名をきかは。火の車自然にさ
J09_0648A13: りて。蓮臺きたりてむかふへし。又きはめてをもき
J09_0648A14: 罪人の。他の方便なからんも。彌陀をとなへたてま
J09_0648A15: つらは。極樂にむまるへし。又もしをもきさはりあ
J09_0648A16: りて。淨土にむまるへき因なくとも。彌陀の願力に
J09_0648A17: 乘しなは。安樂國にむまるへしと候へは。たのもし
J09_0648B18: く候。又善導の釋には。曠劫より此かた六道に輪廻
J09_0648B19: して。出離の縁なからん。常沒の衆生をむかへんか
J09_0648B20: ために。阿彌陀ほとけは佛になり給へりと候。その
J09_0648B21: 常沒の衆生と申候は。恒河のそこにしづみたるいき
J09_0648B22: ものの。身おほきにながくして。その河にはばかり
J09_0648B23: て。えはたらかず。つねにしづみたるに。惡世の凡
J09_0648B24: 夫をたとへられて候。又凡夫と申。二の文字をは。
J09_0648B25: 狂醉のことしと。弘法大師釋し給へり。けにも凡夫
J09_0648B26: の心は。物くるひ。さけにゑいたるかことくして。
J09_0648B27: 善惡につけて。おもひさためたる事なく。一時に煩
J09_0648B28: 惱百たひましはりて。善惡みたれやすけれは。いつ
J09_0648B29: れの行なりとも。わかちからにては行しかたし。し
J09_0648B30: かるに生死をはなれ。佛道にいるには。菩提心をを
J09_0648B31: こし。煩惱をつくして。三祇百劫。難行苦行してこ
J09_0648B32: そ。佛にはなるへきにて候に。五濁の凡夫。わかち
J09_0648B33: からにては願行そなはる事かなひかたくて。六道四
J09_0648B34: 生にめくり候也。彌陀如來この事をかなしみおほし

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