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香取信仰

提供: 新纂浄土宗大辞典

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かとりしんこう/香取信仰

千葉県香取市に鎮座する香取神宮に対する信仰。祭神は経津主神ふつぬしのかみで、別名は伊波比主神いわいぬしのかみ(斎主神)。『日本書紀』によれば、天孫降臨に先立ち経津主神は武甕槌神たけみかずちのかみと共に国土を平定して、国譲りを実現させたとされるため、古くから国家鎮護の軍神として信仰を集めてきた。利根川下流に位置する香取神宮は、対岸にあたる茨城県鹿嶋市の鹿島神宮と共に大和朝廷との関係が深く、朝廷の東国進出により国家神となっていった。中臣氏が司祭を担っていたことから、同氏から分かれた藤原氏の台頭によって、京都で香取への尊崇が高まった。源頼朝らの武将からも崇敬を集め、江戸期には武芸者の信仰を集めた。一二年に一度の午年に行われる式年神幸祭では、天孫降臨に先立って国土平定した軍勢になぞらえて、数千人の神輿渡御が行われる。数多の神宝も伝えられ、海獣葡萄鏡は国宝に指定されている。


【参考】宮井義雄『鹿島香取の研究』(山岡書店、一九四〇)、香取神宮社務所編『新修香取神宮小史—香取神宮蔵版—』(香取神宮社務所、一九九五)


【参照項目】➡鹿島信仰


【執筆者:大澤広嗣】