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阿弥陀秘釈

提供: 新纂浄土宗大辞典

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あみだひしゃく/阿弥陀秘釈

一巻。覚鑁かくばん撰。一二世紀の作。密教の立場から阿弥陀仏名号観を記した書。漢文体で、大意、名号、字相字義の三段からなっている。第一段の大意は、阿弥陀仏とは自性法身観察智体一切衆生覚了の通依とする旨を説き、二段では、天竺で阿弥陀と称し中国では阿弥陀に一三の翻名ありとして一三の翻訳で名号を釈す。一三の翻名は実義に釈せばそれぞれ法身如来である大日如来の異名と説く。三段には阿弥陀梵字三字の字相字義を解釈する。覚鑁浄土思想、名号観を理解する上で重要な書である。穢土の外に浄土を示すのは極悪の衆生を利するための方便と位置付け、己心の弥陀を強調し、現世浄土を感得することを本義としている。法然浄土教との乖離性が顕著である。


【所収】正蔵七九、『興教大師全集』


【参照項目】➡覚鑁己心の弥陀・唯心の浄土


【執筆者:伊藤茂樹】