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立正安国論

提供: 新纂浄土宗大辞典

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りっしょうあんこくろん/立正安国論

一巻。日蓮著。文応元年(一二六〇)成立。本書は前の執権、北条時頼に上奏され、当時打ち続いた災害は念仏の流行によって引き起こされたとし、念仏を停止させるように主張している。主人と客との一〇の問答で構成されており(第一〇段は客の領解で終わる)、特に第四・第五問答では、法然が『選択集』において一切の経典・仏菩薩等を「捨閉閣拋しゃへいかくほう」しているために日本に災害が起こっていると断じ、『選択集』を謗法の書として批判している。この『立正安国論』上奏は浄土教徒の反発を招き、日蓮が住していた草庵は焼き討ちにあった。なお、日蓮教徒からの論難に対し、ほぼ同時代に実恵が『摧邪興正集』二巻を著し、また、江戸時代には天台宗真迢しんちょうが『破邪顕正記』五巻、岸了が『弁無得道論』二巻等を著している。


【参考】立正大学日蓮教学研究所編『昭和定本日蓮聖人遺文』一(身延山久遠寺、一九五二)、兜木正亨『日蓮文集』(岩波書店、一九六八)


【参照項目】➡捨閉閣拋


【執筆者:大嶋憲彰】