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拾遺漢語灯録

提供: 新纂浄土宗大辞典

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しゅういかんごとうろく/拾遺漢語灯録

道光の編纂した法然の遺文集『拾遺黒谷上人語灯録』全三巻の巻上。原本は見当たらず、永年、義山が校訂し正徳五年(一七一五)に開版された版本によってしか見ることができなかったが、平成七年(一九九五)、正徳版開版以前の元禄一五年(一七〇二)に安土浄厳院一四世興誉恩哲(一六四三—一七一三)によって書写された写本が滋賀県甲賀郡(現・甲賀市)水口町立水口図書館(現・甲賀市水口図書館)で発見され、それが以前大徳寺(甲賀市水口町本町)の什物であったことから、大徳寺本『拾遺漢語灯録』と命名された。大徳寺本を正徳版と比べると、正徳版が原文におびただしい改変を加えているテキストであることがわかる。大徳寺本には、「三昧発得記 付夢記」、勢観房源智記「浄土宗見聞 付臨終記(臨終日記)」、「御教書御請」が収録されている。なお『拾遺漢語灯録』は、従来法然遺教の第一結集と称されてきた醍醐本法然上人伝記』と内容が近似していることから、両書の関連性についての議論がなされている。


【所収】浄全九、『国訳大蔵経』宗典部三、正蔵八三、『浄土宗学研究』二二(一九九六)


【参考】梶村昇・曽田俊弘「新出『大徳寺本 拾遺漢語灯録』について」(『浄土宗学研究』二二、一九九六)、梶村昇『法然の言葉だった「善人なをもて往生をとぐいはんや悪人をや」』(大東出版社、一九九九)、曽田俊弘「『拾遺漢語灯録』と醍醐本『法然上人伝記』の関連性—大徳寺本『拾遺漢語灯録』の研究—」(『仏教文化研究』四五、二〇〇一)、中野正明『増補改訂法然遺文の基礎的研究』(法蔵館、二〇一〇)


【参照項目】➡拾遺黒谷上人語灯録拾遺和語灯録


【執筆者:曽田俊弘】