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「愚管抄」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:22時点における最新版

ぐかんしょう/愚管抄

七巻。鎌倉期を代表する天台僧慈円による歴史書。承久二年(一二二〇)頃の成立か。その内容は、神武天皇から順徳天皇(一一九七—一二四二)時代までの政治史である。初め王法の国であった日本が、仏教の伝来とともに仏法王法相依の国となったとし、その後、藤原氏が天皇を補佐するようになり、道長・頼通の時代に盛りを迎え、院政期を経て、保元の乱により、武士の政治進出がおこる。平清盛の政権、源義仲の横暴、安徳天皇の入水などを政治的混乱と捉え、それを源頼朝が平定し、天皇を九条家と武士が協調しながら支えていくという歴史の流れを叙述する。慈円は歴史が道理に基づいて展開すると考え、俗世間の事象を理解しようとした。本書執筆の動機には、長年の親交を深めていた後鳥羽上皇の挙兵をとどまらせようという意図があったが、承久の乱が起こり、慈円の願いは叶わなかった。


【所収】『国史大系』一四


【資料】『愚管抄』


【参考】多賀宗隼『慈円』(吉川弘文館、一九八九)


【参照項目】➡慈円


【執筆者:東海林良昌】