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「前伽陀」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:28時点における最新版

ぜんかだ/前伽陀

伽陀の一つ。法要の開始部分に用いられるところから前伽陀といい、おもに光明伽陀を用いている。この伽陀は『観経』の「光明徧照 十方世界 念仏衆生 摂取不捨」(聖典一・一六六/浄全一・四四)の句で、日常勤行式では摂益文という。阿弥陀仏光明はすべての人々を平等に照らし出し、念仏を称える人々を摂取することを意味している。信行が増長し護念をされるよう願って唱えている。浄土宗の基本的かつ重要な偈文であり、光明徧照念仏一会・願以此功徳の一連の法要形式は浄土宗の全法要の基本となり、現在の御忌会次第もこれによっている。知恩院御忌では、唱導師入堂するときに唱えている。金戒光明寺御忌では、唱導師入堂するときに敬礼伽陀前伽陀として唱えている。


【参照項目】➡摂益文


【執筆者:大澤亮我】


増上寺御忌大会などでは献供のときに伽陀として唱えることがあり、最も多く唱えられている。また授戒会の正授戒のときに伝戒師転座する間にも唱えている。「光」の唱え方は特別な発声法で口伝がある。伽陀の由(ユリ)は、「四智讃」のユリと違い、「讃三年伽陀七年」といわれている。伽陀には「柳」が唱えられ、この旋律では柳の葉からしずくが落ちる情景を写実的に唱えるのが縁山声明の特色である。縁山声明は「前伽陀」が「摂益文」であり、これに対して「総回向偈」は「後伽陀」と称している。


【参照項目】➡摂益文


【執筆者:西城宗隆】


引声阿弥陀経」の経前の「かん念仏」のこと。増上寺御忌・鎌倉光明寺十夜会では献供のときに唱えている。「南無阿弥陀仏んなんもあびいいたうわあふう 阿弥陀仏 阿弥陀仏」(『浄土宗法要儀式大観』二、一四九、名著普及会、一九八七)。経段(阿弥陀経)の前後には三句の念仏を唱える。この甲念仏には二種類の旋律が付されている。経後の「甲念仏」を「後伽陀」ともいう。


【資料】「『浄土宗声明』—祖山流声明・縁山流声明—」(浄土宗、二〇〇四)


【参照項目】➡甲念仏


【執筆者:西城宗隆】