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「乞食」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

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[[出家]][[修行]]者が在家[[信者]]に食を<ruby>乞<rt>こ</rt></ruby>う生活手段のこと。ⓈⓅpiṇḍa-pātaの訳。<ruby>儐荼波多<rt>びんだはた</rt></ruby>、<ruby>分衛<rt>ぶんね</rt></ruby>などと音写し、<ruby>団堕<rt>だんだ</rt></ruby>、<ruby>[[托鉢]]<rt>たくはつ</rt></ruby>などと訳す。ⓈⓅpiṇḍa-pātaは元来、食物が堕ちる意で、転じて与えられた食物が鉢の中に堕ちることを意味する。インド古来の<ruby>[[遊行]]<rt>ゆぎょう</rt></ruby>[[修行]]者(各地を巡って[[修行]]する者)の生活法で、[[仏教]]もこれを採り入れた。[[乞食]]の[[作法]]は諸律蔵に詳しく説明されるが、主なものに、午前中にのみ[[乞食]]すること、[[乞食]]食を次の日に残して食してはならないこと(『四分律』一四、[http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT2018/V22.0662b.html 正蔵二二・六六二中]~三中)、[[乞食]]先を選ばず、順次に家々を回ること(同九三上中)などがある。後に、堕落した[[僧侶]]や、[[道心]]がなく金品や食べ物などを恵んでもらって生活する者を「<ruby>[[乞食]]<rt>こじき</rt></ruby>」と呼ぶようになった。
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[[出家]][[修行]]者が在家[[信者]]に食を<ruby>乞<rt>こ</rt></ruby>う生活手段のこと。ⓈⓅpiṇḍa-pātaの訳。<ruby>儐荼波多<rt>びんだはた</rt></ruby>、<ruby>分衛<rt>ぶんね</rt></ruby>などと音写し、<ruby>団堕<rt>だんだ</rt></ruby>、<ruby>[[托鉢]]<rt>たくはつ</rt></ruby>などと訳す。ⓈⓅpiṇḍa-pātaは元来、食物が堕ちる意で、転じて与えられた食物が鉢の中に堕ちることを意味する。インド古来の<ruby>[[遊行]]<rt>ゆぎょう</rt></ruby>[[修行]]者(各地を巡って[[修行]]する者)の生活法で、[[仏教]]もこれを採り入れた。[[乞食]]の[[作法]]は諸律蔵に詳しく説明されるが、主なものに、午前中にのみ[[乞食]]すること、[[乞食]]食を次の日に残して食してはならないこと(『四分律』一四、[http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT2018/V22.0662b.html 正蔵二二・六六二中]~三中)、[[乞食]]先を選ばず、順次に家々を回ること([http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT2018/V22.0093a.html 同九三上]中)などがある。後に、堕落した[[僧侶]]や、[[道心]]がなく金品や食べ物などを恵んでもらって生活する者を「<ruby>[[乞食]]<rt>こじき</rt></ruby>」と呼ぶようになった。
 
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【参考】佐々木閑『出家とはなにか』(大蔵出版、一九九九)
 
【参考】佐々木閑『出家とはなにか』(大蔵出版、一九九九)
 
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【執筆者:榎本正明】
 
【執筆者:榎本正明】

2018年9月17日 (月) 01:17時点における版

こつじき/乞食

出家修行者が在家信者に食をう生活手段のこと。ⓈⓅpiṇḍa-pātaの訳。儐荼波多びんだはた分衛ぶんねなどと音写し、団堕だんだ托鉢たくはつなどと訳す。ⓈⓅpiṇḍa-pātaは元来、食物が堕ちる意で、転じて与えられた食物が鉢の中に堕ちることを意味する。インド古来の遊行ゆぎょう修行者(各地を巡って修行する者)の生活法で、仏教もこれを採り入れた。乞食作法は諸律蔵に詳しく説明されるが、主なものに、午前中にのみ乞食すること、乞食食を次の日に残して食してはならないこと(『四分律』一四、正蔵二二・六六二中~三中)、乞食先を選ばず、順次に家々を回ること(同九三上中)などがある。後に、堕落した僧侶や、道心がなく金品や食べ物などを恵んでもらって生活する者を「乞食こじき」と呼ぶようになった。


【参考】佐々木閑『出家とはなにか』(大蔵出版、一九九九)


【執筆者:榎本正明】