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乞食

提供: 新纂浄土宗大辞典

こつじき/乞食

出家修行者が在家信者に食をう生活手段のこと。ⓈⓅpiṇḍa-pātaの訳。儐荼波多びんだはた分衛ぶんねなどと音写し、団堕だんだ托鉢たくはつなどと訳す。ⓈⓅpiṇḍa-pātaは元来、食物が堕ちる意で、転じて与えられた食物が鉢の中に堕ちることを意味する。インド古来の遊行ゆぎょう修行者(各地を巡って修行する者)の生活法で、仏教もこれを採り入れた。乞食作法は諸律蔵に詳しく説明されるが、主なものに、午前中にのみ乞食すること、乞食食を次の日に残して食してはならないこと(『四分律』一四、正蔵二二・六六二中~三中)、乞食先を選ばず、順次に家々を回ること(同九三上中)などがある。後に、堕落した僧侶や、道心がなく金品や食べ物などを恵んでもらって生活する者を「乞食こじき」と呼ぶようになった。


【参考】佐々木閑『出家とはなにか』(大蔵出版、一九九九)


【執筆者:榎本正明】