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三明

提供: 新纂浄土宗大辞典

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さんみょう/三明

もはや学ぶべきことが無い聖者、仏陀がもつ三種の明智(Ⓢvidyā)。自他の過去世を明かし、見極める宿命しゅくみょう明(宿住随念智作証明、Ⓢpūrvenivāsānusmṛtijñānasākṣātkriyā vidyā)、自他の未来を明かし、見通す天眼てんげん明(天眼智作証明、Ⓢdivyacakṣurjñānasākṣātkriyā vidyāまたは死生智作証明、Ⓢcyutyupapādajñānasākṣātkriyā vidyā)、煩悩を取り去る漏尽ろじん明(漏尽智作証明、Ⓢāsravakṣayajñānasākṣātkriyā vidyā)の三つをいう。縁起説と並んで樹下成道の内容ともされ、その関連から見れば、宿命明は現在のあり方の原因である過去を見極める縁起説の流転分、天眼明はその原因を取り去ることによる未来を見極める縁起説の還滅分、漏尽明はそれら二つの見極めと表裏一体として起こる現在の煩悩の尽きた状態、成道を表す。また、これらの明は修行者がもつ超自然的な能力(神通力、Ⓢabhijñā)と考えられて、神足通、他心通、天耳てんに通を加えて六神通とする。


【資料】『婆沙論』一〇二


【参照項目】➡六神通


【執筆者:吹田隆道】