一巻。『注十疑論』『浄土十疑論註解』ともいう。宋・澄彧ちょういく(一〇世紀頃、生没年不明)撰。太平興国八年(九八三)頃の成立。本書は天台智顗に仮託された『十疑論』の最初の注釈書である。序文を『宋高僧伝』の著者賛寧(九一九—一〇〇一)が付している。澄彧は天台的解釈がみられない『十疑論』を注釈するにあたり、天台の四土三身説を冒頭に論じているが、天台教学の理観と念仏を結びつけようとする積極的な解釈はみられない。
【所収】浄全六
【参考】佐藤成順『宋代仏教史の研究』(山喜房仏書林、二〇一二)
【参照項目】➡浄土十疑論
【執筆者:吉水岳彦】