木魚
提供: 新纂浄土宗大辞典
もくぎょ/木魚
誦経や念仏一会などを称えるときに打ち鳴らす仏具。クスノキ、クワなどの木を円形・中空に削り、魚鱗を彫刻したもの。魚は昼夜目を閉じることがないから、常に目覚めて精進せよとの警めのために、魚の形を木に刻んで用いたという。魚版から変化したもので、原型は中国の宋代に始まり、明代に木製で珠型中空の魚や竜の模様を彫刻したものが作られたとされる。日本には、江戸時代に黄檗宗の隠元(一五九二—一六七三)がこれを伝えたという。さらに浄土宗での木魚の使用は、京都鳥羽の法伝寺円説が念仏に用いたのがはじめであると伝えられている。誦経のときは、句頭で一下し、大衆同音となってから二句は各一下し、その後おもむろに字音の合間に打ち、おわりの一句で三下する。念仏一会のときは、鉦に準ずる。
【参照項目】➡魚版
【執筆者:斉藤隆尚】