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「久遠の弥陀」の版間の差分

提供: 新纂浄土宗大辞典

 
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2018年3月30日 (金) 06:22時点における最新版

くおんのみだ/久遠の弥陀

久遠の昔に成仏した阿弥陀仏のこと。十劫の弥陀の対。阿弥陀仏成道について、『無量寿経』上に「成仏より已来このかた、凡そ十劫をたり」(聖典一・二三六/浄全一・一二)とあり、『阿弥陀経』に「阿弥陀仏成仏より已来、今において十劫なり」(聖典一・三一八/浄全一・五三)とあるように、阿弥陀仏は今から十劫の昔に成仏したと説かれているが、実際は久遠劫の昔に成仏した仏が真の阿弥陀仏であるとすること。天台浄土教では、『法華経如来寿量品に説かれる本迹二門説にならい、十劫正覚弥陀方便仏であり、久遠実成弥陀が本仏であるとする。法然門下では幸西がこの義を主張し、無始無終の極仏を本門真実の弥陀、十劫正覚の仏を果後の方便としている。また親鸞も『浄土和讃』「大経讃」に「弥陀成仏のこのかたは、いまに十劫とときたれど、塵点久遠劫よりも、ひさしき仏とみえたもう」(正蔵八三・六五七下)と述べ、阿弥陀仏成仏は十劫、塵点久遠劫よりも久しいと説いているが、浄土宗では十劫成道弥陀を正義とする。


【資料】元照『阿弥陀経義疏』(正蔵三七)、源信『正修観記』中(仏全二四)、幸西『観経疏玄義分抄』


【参照項目】➡十劫の弥陀十劫久遠久遠実成


【執筆者:廣川堯敏】