「化土」の版間の差分
提供: 新纂浄土宗大辞典
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2018年3月30日 (金) 06:23時点における最新版
けど/化土
仏・菩薩が衆生の機根に対応して変現させた仏土。ⓈnirmāṇakṣetraⓉsprul-shiṅ。二土、三土、四土に分けられるうちの最も低位な仏土であり、変化土、応土、応化土とも呼ばれる。『成唯識論』に「変化身は変化土に依る。…有情の所宜に随って仏土を化為し、或いは浄、或いは穢、或いは小、或いは大にして前後に改転す。仏の変化身はこれに依りて住し、能依の身量もまた定限なし」(正蔵三一・五八下)とあるように、化身(=変化身・応身・応化身)が住する仏土であり、場合によって浄・穢や大・小の性質に違いがあり一定していない。中国の隋唐代には化土の解釈にさまざまな異説があり、①浄と穢のいずれに属するのか、②独立した別処を有しているのか、③一時的な変現と長時間存続のいずれの性質であるのか、などの論議があった。一般的には『維摩経』に説かれる足指按置(釈尊が足指で大地をおさえ現した)の浄土や弥勒の兜率天宮などが化土に配当される。浄土宗義では阿弥陀仏の極楽浄土を報土とするが、浄影寺慧遠、吉蔵、迦才などの諸師は化土(=応土)であると判定した。親鸞は辺地疑城胎宮と懈慢国を方便化土であるとしている。
【参考】神子上恵龍『弥陀身土思想の展開』(永田文昌堂、一九五〇)、望月信亨『中国浄土教理史』(法蔵館、一九四二)
【執筆者:工藤量導】