四巻。『教時問答』『真言宗教時問答』『教時義』とも呼ばれる。五大院安然著。本書の題名に付く「真言宗」とは、空海の真言宗に対する、天台宗における密教(台密)の立場を明確にするものであり、台密教理を大成した書と位置づけられる。内容は「一切仏一仏」とある安然独自の四一釈(仏・時・処・教)と伝統的な五重玄義によって展開される。また空海の十住心教判や即身成仏思想に対する反論も記されている。
【所収】正蔵七五
【執筆者:舎奈田智宏】