流布曼陀羅
提供: 新纂浄土宗大辞典
るふまんだら/流布曼陀羅
証空らが、広く普及させることを目的に転写・印刻した当麻曼陀羅の総称。聖聡『当麻曼陀羅疏』八に流布曼陀羅について記している(浄全一三・四七四上)。すなわち証空と宇都宮実相房(実信房か)が画師の播磨法眼澄円に転写させ、それを九条殿の沙汰として嘉禎三年(一二三七)九月、信濃善光寺に寄進、その後、一幅を転写し、當麻寺の西竜御殿に安置、また一幅を転写して宇都宮の神宮寺に納めた。実相房は施主として四分一曼陀羅を大羽の往生寺に安置する。さらに証空は日本全国の各州に各一幅を安置することを発願し、一三幅まで転写して各地の道場に安置する。さらに印板に刻して日本や唐にまで流布させたという。だが、現在はこれに該当するものは一幅も求めることはできない。
【執筆者:中西随功】