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往来八千返

提供: 新纂浄土宗大辞典

おうらいはっせんべん/往来八千返

釈尊は実ははるかに昔に悟りを開いた仏で、歴史上の釈迦としてこの世にでるまで、すでに八千回も衆生済度のためにこの娑婆世界におもむいたということ。『梵網経』下に「吾今此の世界に来ること八千返」(正蔵二四・一〇〇三下)とあり、釈尊盧舎那仏るしゃなぶつの説いた心地の法門をそのたびに説いてきたが、実はこの釈迦は盧舎那仏の化身で、千釈迦あるいは千百億釈迦と呼ばれる多くの釈迦の中の一仏なのである。したがって化身である以上、はるか昔に悟りを開いたのは本仏の盧舎那仏ということになり、それが『法華経』の教えと交錯し、久遠実成くおんじつじょう釈迦として捉えられることが多い。


【執筆者:横田善教】