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安珍念仏踊り

提供: 新纂浄土宗大辞典

あんちんねんぶつおどり/安珍念仏踊り

福島県白河市一帯に伝承されている民間念仏、「白河歌念仏踊」の別称。白河歌念仏踊は、江戸時代の中頃から始まったといわれ、五穀豊穣を祈るための踊り、また供養念仏として伝えられてきた。演目は短い祝い物から長編の段物まで多数伝えられているが、いずれもオヤ(親)、シヘン(旨編または四返)、ナガシ(長噺)の三節からなり、速度が徐々に速くなっていく。福島市根田は「道成寺物語」、安珍清姫の伝説で知られる僧・安珍の出生地であり、これにちなんだ歌詞や踊りがあるため、白河歌念仏踊安珍念仏踊りとも称されている。なお、旧暦二月二七日の安珍忌(現在は三月二七日)には安珍堂の前で、歌と踊りで供養が行われる。昭和二七年(一九五二)に同市天神町にある成田山円養寺を本部とした「奥州白河歌念仏踊振興会」が結成され、多いときには九十数集落が参加し、会員は二千名を超えたという。平成五年(一九九三)、福島県重要無形民俗文化財の指定を受けている。


【参考】佛教大学民間念仏研究会編『民間念仏信仰の研究 資料編』(隆文館、一九六六)、福島県編『福島県史』二三(福島県、一九六四)、懸田弘訓『ふくしまの祭りと民俗芸能』(歴史春秋社、二〇〇一)


【参照項目】➡念仏踊り民間念仏歌念仏


【執筆者:名和清隆】