妙行心要集
提供: 新纂浄土宗大辞典
みょうぎょうしんようしゅう/妙行心要集
三巻(各巻、本・末の二冊から成るため全六巻とも)。『妙行心要』ともいう。成立年代は、一一世紀・一一世紀後半・一二世紀前半など諸説ある。著者は源信とされていたが、近年は安楽院恵快(生没年不明)作、または安楽谷円経房増覚(生没年不明)作などとする説が有力視されている。本書は、序に「夫れ観心は乃ち是れ成仏の直道なり。誰か心あらん者、此の行に遵わざらんや。…総じて百二十条有り。名けて妙行心要集と曰う。分かちて三巻と為す。各その章を列し、篇は乱れて次いでなし」(『恵心僧都全集』二・二四七)とあるように、成仏への実践行である観心について、体系的に分類をしない一二〇(現行本では一二二)の項目で説明をしたもの。
【所収】仏全三三、『恵心僧都全集』二
【参考】末木文美士「第二章 本覚思想と浄土教 『妙行心要集』の場合」(『鎌倉仏教形成論 思想史の立場から』法蔵館、一九九八)、同「天台本覚思想研究の諸問題」(『日本仏教思想史論考』大蔵出版、一九九三)、佐藤哲英「第三節 恵快の妙行心要集」(『叡山浄土教の研究』百華苑、一九九五)、西村冏紹「『観心略要集』成立考(末)」(印仏研究三七—二、一九八九)
【執筆者:神宮良弘】