前念命終後念即生
提供: 新纂浄土宗大辞典
ぜんねんみょうじゅうごねんそくしょう/前念命終後念即生
念仏を相続して臨終を迎えた行者は、瞬時に往生を遂げるということ。善導が『往生礼讃』前序において「前念に命終して、後念にすなわち彼の国に生ず」(浄全四・三五七上)と述べることによる。良忠はこの一文を『観経』の「一念の頃のごときに、すなわち極楽世界に往生することを得」(聖典一・三一二~三/浄全一・五〇)を引いて釈している。法然は「三心料簡および御法語」において「前念後念とは、ここに命尽きて後に生を受くる時分なり、行の念にはあらず」(昭法全四五二)と述べ、前念・後念の「念」は念仏行のことではなく時分のことであると説いている。
【参考】髙橋弘次『改版増補 法然浄土教の諸問題』(山喜房仏書林、一九九四)、藤本淨彦『法然浄土教の宗教思想』(平楽寺書店、二〇〇三)
【参照項目】➡前念・後念
【執筆者:鷹觜観道】