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再生医療

提供: 新纂浄土宗大辞典

さいせいいりょう/再生医療

病変や物理的な細胞・組織損傷によって機能不全に陥った組織や臓器の機能を再生する医療技術。人工物による機能再生(人工歯根、人工血管、人工心臓弁)、組織や臓器の移植による機能再生(角膜移植、皮膚移植、臓器移植)、幹細胞による再生医療(骨髄移植、体性幹細胞、ES細胞、iPS細胞)などの方法がある。これら再生医療のうちでも研究開発が急速に進展しているのが幹細胞による再生医療である。一九七〇年代から骨髄移植のように造血幹細胞が一部臨床応用されていたが、一九八一年に身体を構成するすべての細胞に分化できる能力を持った胚性幹細胞(ES細胞)が発見され、一九九八年にヒトES細胞が樹立されるに至って注目をあびた。しかし、ES細胞を利用するためには受精卵の破壊が必要であること、クローン人間の作製が可能であることなどの倫理的な問題があり、その応用には慎重な対応が求められてきた。この問題を回避する方法として平成一九年(二〇〇七)に開発されたのが京都大学山中伸弥教授らのグループによる人工多能性幹細胞(iPS細胞)である。


【執筆者:今岡達雄】