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鬼門

提供: 新纂浄土宗大辞典

きもん/鬼門

陰陽道丑寅うしとらうしとら)、すなわち東北隅の方角をいう。すなわち西北(いぬい)を天門、東南(たつみ)を地門、西南(ひつじさる)を人門、東北を鬼門とした。鬼門鬼星おにぼしのある方角で鬼が出入する所とか陰気のあつまる所とし最も悪い方角と考えられた。また、その正反対の未申ひつじさる(坤)も裏鬼門として忌み嫌われた。陰陽道では鬼門の方角は北の陰から東の陽に転ずる急所として警戒されているが、日本では古来東北の隅は日之少宮ひのわかみやのある所で犯すことができないとされていた。鬼門除けとして神仏を祀ることがひろく行われ、比叡山延暦寺は京都の鬼門にあたり、御所を鎮護するために建立されたともいわれる。また、寛永寺も江戸城の鬼門にあたるしのぶが岡に建立されている。屋敷内においても鬼門の方角に便所・玄関・風呂場などを造るのは避け、鬼門除けとして鬼瓦や花瓶をつけたり梅や桃を植えたりする風習がある。その他、鬼門の方と縁組みをすると死ぬ、鬼門にあたる木を伐採すると死ぬなどといわれる。しかし、これらの俗信は日本独特のもので、中国の古書に出てくる鬼門は方角禁忌までは含んでいなかったという。


【参照項目】➡延暦寺


【執筆者:松野智章】