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高野山

提供: 新纂浄土宗大辞典

こうやさん/高野山

和歌山県伊都いと郡高野町にある山々の総称、また金剛峯寺こんごうぶじ山号今来峰いまきみね宝珠ほうしゅみね鉢伏山はちぶせやま弁天岳べんてんだけ姑射山こやさん転軸山てんじくさん楊柳山ようりゅうさん摩尼まにさんと呼ばれる標高千メートル前後の山々に囲まれた地域を指す。弘仁七年(八一六)嵯峨天皇の勅許により空海金剛峯寺を建立して以来、現在に至るまで真言宗の本拠地とされる。平安時代末期から中世にかけて、専修念仏的要素の強い教義を有する勧進僧の集団、いわゆる高野聖こうやひじりが発生し、高野聖の開祖とされる小田原おだわら聖教誡・明遍重源らの僧が指導的立場に就くことになる。高野聖は山内においては最下層の地位ながらも学侶方・行人方に匹敵する一大勢力として成長を遂げ、別所を拠点に全国を遊行し、各地に高野信仰を広めた。しかし室町時代から江戸時代にかけて為政者による厳しい取り締まりが行われた結果、高野聖真言宗帰入が進行し、以後その影響力は衰退する。平成一六年(二〇〇四)七月、「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコの世界遺産に登録された。


【参照項目】➡金剛峯寺高野聖高野の真別所


【執筆者:冨樫進】