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頭北面西

提供: 新纂浄土宗大辞典

ずほくめんさい/頭北面西

詳しくは頭北面西右脇臥という。臨終時に頭を北に向け顔面は西に向け、右脇を臥せる姿をいう。釈尊涅槃の際、このような姿勢で床についたといわれ、『仏本行経』七には「仏、便ち縄床に在り、右脇にして倚臥し、面を西方に向け、首を北にして足をかさぬ」(正蔵四・一〇六中)とある。インドでは身分の高い人物はこのように臥されるといわれる。中国・日本では、特に浄土教において高僧が臨終の儀に用いた。日本では一般に死者を北枕にする習慣が伝わっている。『四十八巻伝』三七には「〔法然は〕正しく臨終に臨み給う時、慈覚大師の九条の袈裟を掛け、頭北面西にして、光明遍十方世界念仏衆生摂取不捨の文を唱えて、眠るが如くして息絶え給いぬ」(聖典六・五八八)とある。


【参考】小松茂美編『法然上人絵伝・下』(『続日本の絵巻』三、中央公論社、一九九〇)


【参照項目】➡北枕


【執筆者:北條竜士】