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金沢文庫

提供: 新纂浄土宗大辞典

かなざわぶんこ/金沢文庫

横浜市金沢区金沢町。(金沢)北条氏の文庫(図書館)として建治元年(一二七五)頃に創建。かねさわぶんことも。現在は神奈川県立の博物館。北条実時さねときによって創建され、子孫である顕時あきとき貞顕さだあきによって拡張された。金沢北条氏が衰退したのちは、称名寺が管理に当たるが、一時衰退し蔵書も流出した。明治三〇年(一八九七)に伊藤博文らによって再建されるも関東大震災において罹災。昭和五年(一九三〇)、神奈川県の公立図書館として復興し、このときに称名寺より古書、古文書、美術品などが移管された。同三〇年に博物館となり、平成二年(一九九〇)に改築された。所蔵する古文書は、北条氏や称名寺の学僧によって収集されたものであり、これらは『金沢文庫古文書』(神奈川県立金沢文庫、一九五二—六一)として刊行されている。浄土教典籍については、昭和八年(一九三三)に塚本善隆らの調査によって、未見であった資料が多く発見された。


【参考】『金沢文庫資料全書仏典 第四巻 浄土篇(一)』(神奈川県立金沢文庫、一九八〇)、塚本善隆「金沢文庫所蔵浄土宗学上の未伝稀覯の鎌倉古鈔本」(『今岡教授還暦記念論文集』大正大学浄土学研究会、一九三三)


【参照項目】➡浄土宗第三祖然阿良忠上人伝の新研究


【執筆者:石田一裕】