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道綽教学の研究

提供: 新纂浄土宗大辞典

どうしゃくきょうがくのけんきゅう/道綽教学の研究

山本仏骨著。昭和三四年(一九五九)八月、永田文昌堂刊。中国浄土教祖師の研究において、曇鸞善導に比較して道綽教学に対する研究は少ないが、善導教学の母胎としての道綽教学を中心において究明することで、中国浄土教理史の展開の把握を試みた書。内容は、序論では、道綽の行実、時代背景、三階教との関係、思想系統、道綽以後の継承と、諸家および親鸞の『安楽集』観について、また本論では、『安楽集』の成立、教判論、破邪論、身土論、衆生論、往因論、得益とくやく論、往生論の各論について論じている。特に三階教との関係について論じる章を設け、さらに『安楽集正錯録』における正錯の指摘を点検している点は注目される。道綽のみを対象として取り上げた最初の研究書であり、道綽の研究において、欠くことのできない重要な書である。


【執筆者:曽和義宏】