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白本尊

提供: 新纂浄土宗大辞典

しろほんぞん/白本尊

徳川家康念持仏で、静岡宝台院本尊弥陀立像。快慶作とされる。はじめ三河大樹寺にあり、家康一九歳・永禄三年(一五六〇)のときに住持登誉天室より五重相伝相承を受けたときの伝灯仏で、家康の懇望により念持仏となる。後に駿府城内御座の間に黒本尊とともに安置される。仏の左の耳に失痕があり戦中に家康の身代わりになったと伝えられ、特に家康の信仰が篤かった。その後、元和三年(一六一七)秀忠より寺領三〇〇石の寄付とともに秀忠生母・西郷の局の菩提寺宝台院に寄進される。昭和一五年(一九四〇)静岡大火、同二〇年空襲など再三の火災をまぬがれて現在に至る。白本尊と称された理由は、両手の袖の隠された部分に胡粉(白色)が塗られていた痕跡があり、当初は白く塗られていたと考えられるためである。昭和六年(一九三一)に国宝指定、現在は国重要文化財。


【資料】野上運外『宝台院誌』(宝台院、一九四一)


【参照項目】➡黒本尊


【執筆者:野上智徳】