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王誉妙龍

提供: 新纂浄土宗大辞典

おうよみょうりゅう/王誉妙龍

幡随意ばんずいい教化した竜女の法名。慶長一九年(一六一四)越後国高田(新潟県上越市)善導寺落慶の折、幡随意が招かれて百日説法を行ったところ、青柳池の竜神(化女)が現れ教えを請うたので、弟子随波と共に念仏往生の奥義を伝授し、王誉妙龍という法名を授与した。歓喜した竜神は竜玉・竜灯・竜水を献じたといい、当寺には今も伝説の絵巻物(現在は額装)と竜玉・竜神井を伝える。別説では幡随意が館林善導寺に在寺のとき、躑躅つつじがいけに住む沙竭羅さから竜王の娘と伝える竜女が、幡随意の道義を慕って浄土血脈を求めたという。幡随院の仏閣が落慶したときにも妙龍は現れて、当時の幡随院は水の便が悪かったことから、清泉湧出と水火の災難を払う誓約をしたといわれる。こうした因縁から、内陣柱に本尊に向って右手に王誉妙龍、左手に龍誉高天の札を掲げたり、寺院開堂のときや五重相伝などには必ず竜神を祀って守護を請うのが例になっている。


【参考】『幡随意上人行状』(浄全一七)、『幡随意上人諸国行化伝』『幡随意上人伝』、「浄土宗法式雑考九・一〇—龍王について—」(『教化研究』五・六、一九九四・一九九五)、『相承修法要覧』


【参照項目】➡龍誉高天


【執筆者:清水秀浩】