うしにひかれてぜんこうじまいり／牛にひかれて善光寺参り

自分自身が思ったことではなくて、思いがけない縁で、偶然によい方へ導かれることを喩えたことわざ。端的には、人に連れられて、ある一定の場所へ行くことである。信州長野の善光寺近くに、日頃より不信心で強欲な老婆が住んでいたが、ある日、晒さらしておいた布を、偶然に牛が角に引っ掛けて走ったのを追いかけ、いつの間にか知らぬうちに善光寺に駆け込み、霊場であることを知って、後生を願うようになったとの故事に由来する。信仰という立場からいえば、信心に関係なく、参詣したり、修行したりすることで、結果的に次第に信仰に導かれ、信心が深まっていくことにもなる。

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【執筆者：勝崎裕彦】