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民間巫者

提供: 新纂浄土宗大辞典

みんかんふしゃ/民間巫者

政府や朝廷など政治権力に認められた上で公的な祭祀を司るのとは異なり、民間において個人や集団を対象に祈禱占い、霊的儀礼などの宗教的な活動を行う巫者のこと。大きく分けて、霊媒れいばい型と予言型に分類できる。彼らは、特定の教団や集団に所属していない場合が多く、居住地や活動地域も流動的であることが多い。桜井徳太郎によると、歴史的には男性巫者より女性巫者(巫女)の方が早く出現したとされる。古代の巫女は心霊を身体に憑依ひょういさせて神語を伝達するといった霊媒型であったが、密教の影響によって平安初期頃から加持僧や験者げんじゃらの霊的操作による憑依といった形態が生まれた。近世になると修験道の修験者らが里に定着化し、山伏、行者祈禱師としての役割を果たすようになった。宮家準によると、近世末以降には、民衆が積極的に山岳に入り、既存の教団とは無関係に修行し、霊力を得て宗教者になっていったとされる。現代日本では、沖縄のユタ、東北地方のイタコなどを代表的な例として挙げうるであろう。


【参考】柳田国男『定本 柳田国男集』九(筑摩書房、一九七〇)、桜井徳太郎『日本のシャマニズム』上・下(吉川弘文館、一九七四・一九七七)、中山太郎『日本巫女史』(パルトス社、一九八四再刊)、宮家準『修験道』(講談社学術文庫、二〇〇一)


【参照項目】➡シャマニズム


【執筆者:江島尚俊】