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木槵経

提供: 新纂浄土宗大辞典

もくげんきょう/木槵経

一巻。『木槵子経』ともいう。訳者不詳。異訳に唐・不空訳『木槵経』一巻がある。釈尊が難国の波瑠璃王の請いに応じ、木槵子の実一〇八個を貫いて作った数珠を身につけ、三宝の名を称賛することの功徳を説いた経典。三宝の名を唱えるごとに木槵子の実を一個くり、これを一〇〇万遍くり返せば、その功徳として一〇八の煩悩を滅し、涅槃の境地に達することができるという。経録では隋・法経撰『衆経目録』三が初見であり、開元一八年(七三〇)に成立した唐・智昇撰『開元釈教録』二〇の入蔵録下には東晋代失訳の小乗経典の一つとして記載されている。一方、異訳である不空訳『木槵経』は唐・円照撰『大唐貞元続開元釈教録』上の「経論及念誦法」が初見となる。この不空訳は経典名に「子」の字を欠くが、失訳でも「子」を欠く場合もあり、「子」の有無に関する説明は少なくとも入蔵録には見られない。


【所収】正蔵一七


【資料】法経『衆経目録』三、智昇『開元釈教録』二〇(共に正蔵五五)


【参考】蔡運辰『二十五種蔵経目録対照考釈』(新文豊出版、一九八三)、牧田諦亮監修/落合俊典編『中国・日本経典章疏目録』(『七寺古逸経典研究叢書』六、大東出版社、一九九八)、国際仏教学大学院大学学術フロンティア実行委員会編『日本現存八種一切経対照目録』(同委員会、二〇〇六)


【執筆者:杉山裕俊】