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日本浄土教成立史の研究

提供: 新纂浄土宗大辞典

にほんじょうどきょうせいりつしのけんきゅう/日本浄土教成立史の研究

井上光貞著。昭和三一年(一九五六)九月、山川出版社刊。鎌倉初期の浄土教の成立過程について論考した書。内容は、飛鳥時代から鎌倉初期頃の、特に法然浄土教までの範囲を律令時代、摂関期、院政期の区分をもとに浄土教がいかなる様相であったのか、教義と僧(教団)と信者の関係性に留意しながら考証されている。本書は従来見逃されていたような資料なども蒐集しゅうしゅうし、丹念な整理と分析によって論証され、その成果は、智光浄土教思想、浄土教建築の盛行期、ひじり沙弥しゃみの昂揚事情等の見解に見受けられる。昭和五〇年二月、新訂版が山川出版社より刊行。また同六〇年には『井上光貞著作集』七(岩波書店)に収録・刊行された。


【執筆者:髙津晴生】