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念仏講

提供: 新纂浄土宗大辞典

ねんぶつこう/念仏講

死者の往生や安産、その他のさまざまな祈願のために念仏を唱えることを主たる目的として組織された講集団。念仏講は女性あるいは高齢者により組織されていることが多く、地域によって無常講、往生講などともよばれる。関西地方では男性の講を念仏講、女性の講を尼講とよぶことが多い。たとえば滋賀県東近江市のある地域では、最年長者から年齢順に十数名が念仏講を組織し、講員の中で死者が出ると講員が葬家で数珠繰りを行う。これを「念仏講別れ」と称する。その後、次年齢の新加入予定者宅へ加入を依頼に行くことになっている。このように地域の長老衆が念仏講を組織するという例もある。各地域で念仏講が結成されるのは中世後期以降であり、その背景には民間で活躍した聖の影響が大きかったものと考えられる。念仏講では通常は音頭取りが中心となり、太鼓と鉦で拍子を取りながら百万遍数珠繰りを行う。また関東地方では各種の和讃を、関西地方では御詠歌を唱えることが通例となっている。


【参考】竹田聴洲編『葬送墓制研究集成三 先祖供養』(名著出版、一九七九)


【参照項目】➡尼講


【執筆者:八木透】