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往生要集詮要

提供: 新纂浄土宗大辞典

おうじょうようしゅうせんよう/往生要集詮要

一巻。法然述。源信の『往生要集』を注釈した書。法然の注釈は、他に『往生要集料簡』『往生要集略料簡』『往生要集釈』がある。四種の釈書はいずれも、詳しい成立年代は不明であるが、法然の著述の中で初期のものと考えられている。本書では、『往生要集』の章門について開合があるとし、開くと『往生要集』のように一〇門となり、合すると、厭離穢土門・欣求浄土門念仏往生門・諸行往生門・問答料簡門の五門となるとし、以下この分類を用いて注釈を加えている。そして『往生要集』一〇門のうち、大文第四「正修念仏門」に説かれる称名念仏に注目し、『往生礼讃』などの経論により称名念仏を勧め、大文第五「助念方法門」の第七「惣結要行」の文によって『往生要集』の本意が称名念仏にあるとしている。本書の特色は、念仏観念称念に分け、勝劣・難易を説き、観想念仏を勝・難、称名念仏を劣・易の行とし、難易の義によって称名念仏を取るという立場を明示する点にある。これは四釈書全体に通じる思想と推定され、『選択集』三などに説かれる念仏を勝易の行とする立場とは異なることから、四釈書が法然著作中、初期の作とされている。


【所収】『仏教古典叢書』、昭法全


【参照項目】➡往生要集往生要集釈


【執筆者:長尾隆寛】