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弁証法

提供: 新纂浄土宗大辞典

べんしょうほう/弁証法

一つの物事を、対立した二つの規定の発展的統一(正・反・合)として捉える方法。ギリシア時代の問答法より発展、ヘーゲルが大成したとされる。広義に、多くの人が認める前提からの推理を弁証的と呼ぶなら、仏教における思考方法は弁証的と言えよう。狭義には、ヘーゲルの弁証法における正・反・合と、天台教学における三諦すなわち空諦・仮諦・中諦とが同じ構造であるなどと指摘される。諸法を空と捉え、しかしながら仮(仮名)を認め、空と仮の相即(中)に向かうという理解において、三諦仏教における弁証法とも言い得よう。しかし、実際には、空と仮が単純な対立ではない点、三諦は空観(従仮入空観)・仮観(従空入仮観)・中観(中道観)という実践観法によって意味をなす点など、ヘーゲルの弁証法において主体・客体を対立的に捉えてしまう限界を超える点に三諦のねらいがあることを見落とすべきではない。


【参照項目】➡三諦


【執筆者:霜村叡真】