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常夜灯

提供: 新纂浄土宗大辞典

じょうやとう/常夜灯

神仏の前に一晩中火をともし続けるための灯籠で、その多くは石灯籠である。近世以降、寺院や神社だけでなく街道や村や港にも建てられるようになり、村内安全や防火の祈願対象、また旅人の道標の役割も果たしている場合もあった。寺院に寄進する場合、先祖供養、一族繁栄、子孫長久をその目的とすることが多いが、多額の灯明料を伴っていたため、誰もが寄進できるわけではなかった。長野善光寺の場合、境内および参道には一八八基の常夜灯が現存しているが、そのなかで最も古いものは正徳三年(一七一三)のものである。一七〇〇年代に現本堂完成や出開帳などの影響によって増加した常夜灯は、一八〇〇年代の寺社参詣ブーム、とりわけ一八四〇年代以降の講の組織化によって、広い地域の人々から寄進されるようになった。常夜灯を寄進する場合には宿坊が取り次ぎをしていたが、その永代油料の相場は享保年間(一七一六—一七三六)で三五両ほどであったという。


【参考】黒岩龍也「常夜灯にみる善光寺信仰の広がり」(『長野県立歴史館研究紀要』一五、二〇〇九)、西海賢二『石鎚山と修験道』(岩田書院、一九九七)


【執筆者:名和清隆】