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展坐具偈

提供: 新纂浄土宗大辞典

てんざぐげ/展坐具偈

坐具をひろげるときに唱える偈文。「善哉尼師壇ぜんざいにしだん 諸仏所受用しょぶつしょじゅゆう 願共一切衆がんぐいっさいしゅう 常坐於其中じょうざおごちゅう」。「善きかな尼師壇は、諸仏の受用したまう所なり、願わくは一切の衆と共に、常に其の中に坐せん」と唱え坐具を展開する。『諸回向清規式』五(正蔵八一・六八三中)に出る。坐具はⓈniṣīdanaの訳で、尼師但那、尼師壇と音写する。『浄土苾蒭びっしゅ宝庫』下には坐具ぶる偈とある(四六オ)。「すばらしいことだ。坐具は諸仏の作用を受けることのできる所である。願わくは、一切衆生と共に常にこの中に坐っていたい」という意。『四分律行事鈔資持記』には「阿難結集の時、迦葉尊者は、僧伽梨をとり、阿難の前に至り尼師壇を敷き、阿難に礼す」(正蔵四〇・三六五下)とあり、現今では、尊重の義を表すとされ、中国・日本では、仏や師僧を礼拝するときに偈を唱え坐具を展開する礼法をとっている。浄土宗では「展坐具」を特殊法要などで行い、その法は『法要集』によっている。増上寺では「阿弥陀懺法」のときにその作法を行っているがこの偈を唱えない。


【参照項目】➡坐具阿弥陀懺法


【執筆者:陣川隆行】