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安楽集玄譚

提供: 新纂浄土宗大辞典

あんらくしゅうげんだん/安楽集玄譚

一巻。著者不詳。道綽安楽集』の注釈書。巻末に『安楽集』の清濁本、頭書本が現行していることが記されている。義山募刻の『安楽集』清濁本は元禄一一年(一六九八)刊であるので、それ以降の成立と考えられる。『安楽集』の綱要を①大意②『観経』の宗旨との関係③九品の機分別菩提心の具不⑤偽経引証の通釈の五項目にわたって述べる。続いて題目・撰号・釈文の三項目をあげ、良忠の『安楽集私記』によって釈すとしているが、この部分の文章を欠いている。また巻末に末註として『私記』、良栄理本『私記見聞』、貞準『新鈔』、知空『鑰聞やくもん』、恵琳『音義』をあげ、白旗派良忠によるべきことを記している。これらの末註は円諦『安楽集纂釈』に引用されており、『纂釈』は釈名と釈文のみで大意がないことから、『玄譚』と『纂釈』は一部であったと推定できる。なお本書の著者を龍谷大学蔵本によって雲幢とする説があるが、正確には曇鳳なる人物がまとめた、雲幢述の『安楽集』講義録といえよう。さらに龍谷大学には同名異本を蔵している。この写本には撰者、筆者、年代などは記入されていないが、内容は『安楽集』の興由と旨記の二項を別時意説との関連について述べたものである。両本とも真宗の学者によるものと考えられる。


【所収】続浄六


【参考】藤堂恭俊「『略論安楽浄土義』と『安楽集』の末疏について 解説」(『浄土宗典籍研究』山喜房仏書林、一九七五)


【参照項目】➡安楽集纂釈


【執筆者:曽和義宏】