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提供: 新纂浄土宗大辞典

ゆめ/夢

象徴的思考を特色とする睡眠中の意識体験。フロイトは夢を、超自我の「検閲」によって抑圧された欲望が圧縮や転位や象徴化などの擬装のもとに自己を主張する試みとして解釈した。古来、夢を神霊からの啓示と解する文化は多く、タイラーは宗教の起源を未開人の夢解釈の内に見出した。日本でも霊夢を求めての寺社参籠が盛んに行われ、夢記信仰文化の重要な要素を成している。例えば、法然が夢の中で善導と対面し、「汝専修念仏を広むること、貴きが故に来れるなり」(『四十八巻伝』七、聖典六・七八)の言葉を授かったことを記す『法然聖人御夢想記』、親鸞に妻帯を促した六角堂救世観音の示現を記した真仏の『親鸞夢記伝』、梵僧の示現や予知夢などの長年にわたる克明な夢の記録を収めた明恵の『夢記』などがある。これらは、夢が宗教的確信の裏付けとして重要な役割を担っていたことを示している。なお、親鸞夢告については、恵信尼消息および覚如の『御伝鈔』にも記されている。


【参照項目】➡夢告二祖対面


【執筆者:司馬春英】