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告別式

提供: 新纂浄土宗大辞典

こくべつしき/告別式

故人の知人や友人などが故人に対して最後の別れを告げるための式典。葬儀式が一般的に宗教者を呼んで何かしらの宗教的な儀礼を行うことに対して、告別式は特に宗教的である必要はない。また、生前の故人の意思や喪主の判断などによって告別式をしない場合もある。日本で最初に行われた告別式は、明治四三年(一九一〇)に思想家の中江兆民が死去した際である。このとき中江の生前の意思によって、僧侶が関わる宗教儀式部分のかわりに弔辞、演説などの無宗教的な式典が執行された。その後、告別式が全国的に広まったのは戦後の高度経済成長期で、告別式を含む葬儀全体を遺族のものではなく自分自身の生の最終表現とする考え方は、現在ではさらに広がっている。


【参考】村上興匡「中江兆民の死と葬儀—最初の〈告別式〉と生の最終表現としての葬儀—」(『東京大学宗教学年報』一九、二〇〇二)


【参照項目】➡葬儀式


【執筆者:齋藤知明】