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住吉信仰

提供: 新纂浄土宗大辞典

すみよししんこう/住吉信仰

大阪市住吉区の住吉大社に対する信仰。祭神は、筒男三神(底筒男命そこつつのおのみこと中筒男命なかつつのおのみこと表筒男命うわつつのおのみこと)で、住吉大神と総称される。また神功じんぐう皇后は新羅遠征に際して三神から神威を得て、戦わずして降伏せしめたことから、住吉大社では息長足姫命おきながたらしひめのみこと(神功皇后)も祭神に加えられ、各地の住吉神社も同様の祭神である場合が多い。神功皇后の故事から、海上交通の守護神として信仰を集め、海上航路の要所や漁民たちの守護として、大阪湾や瀬戸内海、日本海など沿岸地帯を中心に全国へ広まった。また農業や和歌の神徳に対する信仰もある。住吉大社には、伝統芸能の住吉踊りが伝わっている。その起源は神功皇后が朝鮮半島から帰国した際に、難波吉士きし氏が一族に伝わる氏舞を踊ったことが始まりとされ、中世に住吉大社の神宮寺から住吉踊りが広まったことから、僧衣を着用した踊り手が登場する。承元年間(一二〇七—一二一一)には、配流となった法然が四国から戻る途中で嵐にあったので、住吉大明神に安全航海を祈願したところ住吉に安着し、同地の一運寺に逗留して民衆を教化したという。


【参考】西本泰『住吉大社』(学生社、一九七七)、上田正昭『住吉と宗像の神』(筑摩書房、一九八八)、住吉大社編『住吉大社 改訂新版』(学生社、二〇〇二)、真弓常忠『住吉信仰—いのちの根源、海の神—』(朱鷺書房、二〇〇三)


【執筆者:大澤広嗣】