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中元

提供: 新纂浄土宗大辞典

ちゅうげん/中元

三元の一つで陰暦七月一五日のこと。またそれに伴うさまざまな宗教儀礼。中国の清代の『帝京歳時紀勝』正月「三元」に「十五の上元、七月の中元、十月の下元を三官の聖誕となし、天官賜福、地官赦罪、水官解厄をう。その日には壇を設け致祭す。素食するものあり」とある。すなわち、上元、中元、下元は三元といわれ、正月一五日、七月一五日、一〇月一五日に行われる祭祀であり、上元は元宵節げんしょうせつ中元盂蘭盆会と重なり盛大に行われるが、下元は重複する行事がないため、盛況さは劣るようである。中元には地官に供物を献じ、日ごろ犯した罪の許しを請うのである。しかし、この風習が日本に入ると、お中元となり、神への供物が人間同士の贈答に形を変える。また、この三元節の成立は北魏の寇謙之に求められていたが、この説は秋月観暎の「三元思想の形成について」(『東方学』二二、一九六一)という論文で打破される。秋月は『洞玄霊宝三元玉京都大献経』などで中元功徳を強調しているのは、中元が三元の中核であり、六世紀中葉から七世紀初頭に仏教盂蘭盆会の影響をうけて成立したからであるとしている。


【参考】田中文雄他編『道教の教団と儀礼』(『講座 道教』二、雄山閣出版、二〇〇〇)、窪徳忠『東アジアにおける宗教文化の伝来と受容』(第一書房、一九九八)


【執筆者:清水浩子】