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一念寺

提供: 新纂浄土宗大辞典

いちねんじ/一念寺

京都市伏見区下鳥羽南三町。聴徳山応声院。京都教区№二九八。この地は桂川と鴨川が合流する草津の湊として知られ、建永二年(一二〇七)の配流の際には法然もここから船出をした。当寺には、法然蓮生れんせい房(熊谷直実)に与えたという「名残の名号」が伝わっている。寺伝によると、元来は法相宗に属し、道昭の開山とされるが、『蓮門精舎旧詞』五では開山蓮生房としている。永享三年(一四三一)真阿弥によって中興。その際、現本尊である春日作・丈六の阿弥陀仏座像(京都府文化財)を東大寺念仏堂から迎えたと伝えられ、「鳥羽の大仏おおぼとけ」として知られる。真阿弥の没後、遺言によってその遺骸は門前の鴨川に水葬され、その由来からそこが真阿弥ヶ淵と呼ばれるようになり、長く殺生禁断の地とされた。


【資料】『翼賛』三四(浄全一六)、『浄土宗寺院由緒書』下(『増上寺史料集』七)


【執筆者:上田千年】