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えびす信仰

提供: 新纂浄土宗大辞典

えびすしんこう/えびす信仰

福神えびすに対する信仰。えびすは異郷から福をもたらす神とされる。漢字では恵比寿・恵比須・夷・戎・蛭子などと表記し、異郷者や辺境者を意味するエビスやエミシに由来するとの見方もある。民間では大黒天などとともに広く信仰され、七福神の一柱に数えられる。他の福神は元来は異国の神や僧であるが、えびすは日本の神である。一般的にえびすの神像は、烏帽子えぼしをかぶり狩衣・指貫を着用し、釣竿を持ち鯛を抱えた、福々しい恰幅のよい男性の姿で表現される。農家では田の神、漁師には漁業の神、商家では商売繁昌の神とされるなど、その性格は複雑である。兵庫県西宮市の西宮神社は、えびす信仰の総本社として知られる。記録によると、長寛元年(一一六三)に奈良の東大寺にえびすが勧請されるなど、平安末から鎌倉時代にかけて近畿の寺社で夷社が建立されたという。


【参考】宮本袈裟雄編『福神信仰』(『民衆宗教史叢書』二〇、雄山閣出版、一九八七)、北見俊夫編『恵比寿信仰』(『民衆宗教史叢書』二八、同、一九九一)、吉井良隆編『えびす信仰事典』(『神仏信仰事典シリーズ』二、戎光祥出版、一九九九)


【参照項目】➡七福神


【執筆者:大澤広嗣】