浄土宗全書を検索する
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| 巻_頁段行 | 本文 | 
|---|---|
| Z14_0007A01: | 念佛の大ぐゝりなり。取レ要言レ之と。云ものなり。猶此 | 
| Z14_0007A02: | を委細に說のべば。卽心の卽の字は。つくと云は。物 | 
| Z14_0007A03: | が二ありて。とりつきたる樣なれども。左樣にてはな | 
| Z14_0007A04: | し。我心も法界。阿彌陀如來も法界なれば。心と佛と | 
| Z14_0007A05: | 一體なるを。卽と云なり。法界の理體は一なれども。 | 
| Z14_0007A06: | 彌陀は。結構なる佛にて。西方に在し。我等は迷ふて。 | 
| Z14_0007A07: | 此界に在。此界の人の心にて。西方の彌陀を念ずれ | 
| Z14_0007A08: | ば。事の方より。約レ心の。卽レ心のと云ことが出來た | 
| Z14_0007A09: | り。さて心と云は。面々の心なり。心の體は。色もな | 
| Z14_0007A10: | く。形もなければ。一とも云れぬものなれども。心の | 
| Z14_0007A11: | 起り樣に付て。此を分れば。八識。九識と云ことあり。 | 
| Z14_0007A12: | 目で物を見る心を。眼識と云。耳で聲を聞心を。耳識 | 
| Z14_0007A13: | と云。鼻で物をかぐ心。舌で物をあじをふ心。身に觸 | 
| Z14_0007A14: | て知心を。次の如く。鼻識。舌識。身識と云なり。只心 | 
| Z14_0007A15: | の中にて。色々のことを思ふを。意識と云なり。立て | 
| Z14_0007A16: | も。居ても。寤ても。寐ても。我を忘れぬ心を。第七識 | 
| Z14_0007A17: | と云なり。とくと能ねいりて。夢も見ぬ時も。死人に | 
| Z14_0007B01: | あらざれば。心あり。其心を。第八識と云なり。その第 | 
| Z14_0007B02: | 八の見分を。第七が認て。我なり。法なりとするなり。 | 
| Z14_0007B03: | 第九識と云は。八種の識の。總體なる心なり。總體と | 
| Z14_0007B04: | 云は。性相の分ち。染淨の分ちに。そむかぬことなり。 | 
| Z14_0007B05: | 禪者は。心法無レ形。通二貫十方一。在レ眼曰レ見。在レ耳曰レ聞。 | 
| Z14_0007B06: | 在レ鼻曰レ香。在レ口談論。在レ手執捉。在レ足運奔。本是一 | 
| Z14_0007B07: | 精明。分爲二六和合一といへり。目で物を見。耳で物を | 
| Z14_0007B08: | 聞心は。ちよつと起りて。擊石火の如く。閃電光の如 | 
| Z14_0007B09: | くにて。ひつかり。ちらりとしたる。やうなる。ものな | 
| Z14_0007B10: | れども。其體は。みな周徧法界の物なり。心の內で物 | 
| Z14_0007B11: | を思へば。心は我身の內。胸の間にある物のやうなれ | 
| Z14_0007B12: | ども。左樣に思ふ所の物は。緣影と云て。鏡の中の影 | 
| Z14_0007B13: | の如くにして。鏡の光りにもあらず。鏡の總體にもあ | 
| Z14_0007B14: | らざる如くなり。心で物を思ふ其體は。色もなく。形 | 
| Z14_0007B15: | もなく。聲もなく。臭もなく。過去にいつ始ると云こ | 
| Z14_0007B16: | ともなく。未來にいつ終ると云こともなくレ東西南 | 
| Z14_0007B17: | 北。十方法界。どこにはてもなき。周徧法界の體なり。 |